これまでのキャリアのこと(2)
製材科
平成10年7月に採用となった林産試験場で最初に配属になったのは、技術部製材科でした。
製材工場で必要とされる技術を研究・普及指導するのが役割の職場で、科長以下3人の研究職員のほかに、製材工場を運営し研究を手助けするため10人ほどの技能職員が在籍しており、いつもにぎやかな職場でした。
具体的な研究対象としては鋸などの切削工具の性能や、製品生産の歩留まり向上、内外の新技術の調査などが研究対象でした。製材技術は、研究としては「枯れた」分野ですが、丸太からいわゆる材木を生産する、木材利用の「一丁目一番地」となるものですので、張り切って取り組み始めました。
当時は職場にあるパソコンは古い9801互換機だけで、LANにもつながっていませんでしたから、職員はみな自前のパソコンを持参していました(今はわかりませんが、当時は許容されていました)。私も自作のDOS/V互換機を持ち込んで、Windows98を走らせ、自分で買ったソフトを使って仕事をしていました。
まだ駆け出しの技術者の私でしたが、もともと製材技術は専門ではありませんでしたから、初めのうちは先輩について実験や調査をしたり、文献を読んで短いレポートを書いたりすることが仕事です。
製材工場の技術者に鋸刃や機械、工場のレイアウトなどについてアドバイスする上司や先輩の姿がとてもかっこよく見えました。また技能職員の先輩方からは、現場で必要とされる技術について経験に即して教わることができ、ずいぶんと助けられたものです。
そのうち製材工場の経営診断・改善プロジェクトが立ち上がり、そのメンバーの一人として活動することになりました。
このプロジェクトは、製材工場に1週間の毎日、始業から終業まで調査に入り、工場でのワークサンプリングに基づく作業改善の提案と、決算書とヒアリングをもとにした経営診断をセットで行うというものでした。
製材工場には空調がなく、常にモノの出入りがある半分屋外のような環境ですから、真夏は暑いし、真冬は氷点下の中の作業です。工場で働く方の苦労を身をもって感じる調査でした。