風営法の規制対象事業と補助金

国などの各種補助金について、キャバクラやゲームセンター、パチンコ、麻雀など、風営法(風的法)の規制対象となっている業種が、補助金の対象となりうるかどうかについて、ご相談を受ける機会がありましたので整理しておきます。

まず、「風俗営業」と呼ばれるものですが、法律では次のように定義されています。

1. 風俗営業(法第2条第1項)

  • 接待飲食等営業:キャバレー、キャバクラ、ホストクラブなど、設備を設けて客の接待をし、遊興または飲食を提供する営業。(一号営業)、同伴喫茶などの低照度飲食店(二号営業)、区画席飲食店(三号営業)
  • 遊技場営業:パチンコ店、マージャン店など、設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技を提供する営業。(四号営業)、ゲームセンター・カジノバーなど、スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備を備える店舗で客に遊技をさせる営業(五号営業)

2. 性風俗関連特殊営業

  • 店舗型性風俗特殊営業(法第2条第6項):ソープランド(一号営業)、ファッションヘルス(二号営業)、ストリップ劇場(三号営業)、ラブホテル(四号営業)、アダルトショップ(五号営業)、出会い系喫茶(六号営業)
  • 無店舗型性風俗特殊営業(法第2条第7項):デリバリーヘルス、アダルトビデオの通信販売など。
  • 映像送信型性風俗特殊営業(法第2条第8項):インターネットを利用したアダルト映像の配信。
  • 電話異性紹介営業(法第2条第9項、同第10項):テレホンクラブ、ツーショットダイヤルなど。

補助金の要項、要領を確認してみると

注意:いずれも、すでに募集を締め切られたものを含め、2025年2月13日現在ウェブ上で公開されている要項、要領による説明です。申請を検討される際には、最新の要項要領をご確認ください。また、疑問、不明の点は補助金事務局へ直接ご確認ください。

  • IT導入補助金 風俗営業全般が対象外
    「IT導入補助金2024公募要領(通常枠)」には、申請の対象外となる事業者として「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条各項に規定する営業を営む事業者(旅館業法第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営む事業者(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く)を除く)」と明記されています。

it-shien.smrj.go.jp

  • ものづくり補助金 風俗営業全般が対象外
    「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.1版」には、補助対象外となる事業として「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条各項に定める事業」と明記されています。

portal.monodukuri-hojo.jp

  • 事業再構築補助金 性風俗関連は対象外
    「事業再構築補助金公募要領(第13回)」には、「風営法第2条第5項及び同条第13項第2号」に該当する事業は補助の対象外と明記されています。性風俗関連特殊営業と、店舗型性風俗特殊営業がこれにあたります。接待飲食等営業、遊技等関連は対象外とはされていません。

jigyou-saikouchiku.go.jp

  • 小規模事業者持続化補助金 マージャン、パチンコ、ゲームセンター等及び性風俗関連は対象外
    対象外となる事業として、「小規模事業者持続化補助金<一般型>第16回公募公募要領」に次のような記載があります。一方で、接待飲食等営業についての明確な記述はありません。一般型でガールズバー等の飲食店が採択された例もありました。

事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの
例)マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等

s23_koubo16_13.pdf

  • 中小企業省力化投資補助金 風俗営業全般が対象外
    対象外となる事業として、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条各項に規定する営業を営む事業(旅館業法第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営む事業(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する 法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く)を除く)」と明記されています。 また、補助対象者が補助事業とは別にこれらの事業を営んでいる場合も対象外となるため、注意が必要です。(例:キャバクラを経営している事業者が、自社の居酒屋で省力化対象製品を導入する補助事業をすることができない。)
    shoryokuka.smrj.go.jp

北海道の補助金についても調べてみました。

  • 令和6年度デジタル技術導入補助金 性風俗関連は対象外

「補助事業申請の手引」には、補助対象者から除外するものとして、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第5項及び同条第13項第2号により定める事業」を営むものと明記されています。性風俗関連特殊営業と、店舗型性風俗特殊営業がこれにあたります。接待飲食等営業、遊技等関連は対象外とは明記されていません。

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